• 明倫国際法律事務所

コラム

COLUMN

育児・介護休業法の改正

一般企業法務等

2023.07.18

執筆者:髙崎慎太郎

 2021 年6 月に育児・介護休業法が改正され、2022 年4 月1 日から順次施行されています。主に男性の育休促進により少子化対策を推し進めることを目的とした改正です。男女ともに労働者が仕事と育児を両立できる環境を整備することは、人材を確保し又は労働者の離職を防ぐことに繋がりますので、企業にとっても重要な施策といえるでしょう。

 改正の具体的内容は以下のとおりです。

1 男性の出生時育児休業の新設/育休の分割取得等

【令和4年10 月1日施行】

 男性において、子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能な育休制度が新設されました。なお、この制度においては、労使協定を締結することにより、労働者が同意した範囲で、休業中の就業が可能となりました。

 また、従来の育休制度についても、2回に分割して取得可能になりました。

 さらに、保育所に入所できない等の理由により育休を1歳以降に延長する場合について、開始日が柔軟に認められ、各期間途中でも夫婦交代を可能(途中から取得可能)になりました。

2 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備/妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認

【令和4年4月1日施行】

①育児休業を取得しやすい雇用環境の整備が義務付けられました。

 具体的には、研修の実施、相談窓口の設置、自社の労働者の育休取得事例の収集・提供、自社の労働者への育休制度と育休取得促進に関する方針の周知のうちいずれかの措置を講じる必要があります。

②本人又は配偶者の妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認が義務付けられました。

 当該労働者に対し、法令で定められた時期までに、育休の制度、申出先、育児休業給付、育休期間中の社会保険料の取扱いについて個別に周知した上で、育休に関する意向を確認する必要があります。面談(オンライン可)又は書面交付(郵送可)により実施することになりますが、労働者が希望する場合にはFAX 又は電子メール等でもよいこととされています。

3 育休の取得状況の公表

【令和5 年4 月1 日施行】 

 従業員1000 人超の企業を対象に、育休の取得状況について公表が義務付けられます。
 育休の取得率又は育休及び育児目的休暇の取得率を年1回公表することとされることが予定されています。

4 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

【令和4 年4 月1 日施行】

 従前は、「引き続き雇用された期間が1年以上」であることが必要であるとされていましたが、この要件が原則撤廃されました。ただし、労使協定の締結によりこの要件を残すことは可能とされています。

 さて、貴社における法改正への対応は十分でしたでしょうか。不十分な点がある場合、就業規則の改定等が必要になりますので、ご不明な点等ございましたらぜひ当事務所まで一度ご相談ください。
 なお、厚生労働省のHP では、法改正に対応するための各種資料が掲載されていますので、そちらもあわせてご活用ください。


  • 東京、福岡、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、ハノイの世界7拠点から、各分野の専門の弁護士や弁理士が、企業法務や投資に役立つ情報をお届けしています。
  • 本原稿は、過去に執筆した時点での法律や判例に基づいておりますので、その後法令や判例が変更されたものがあります。記事内容の現時点での法的正確性は保証されておりませんのでご注意ください。

一覧に戻る

ページの先頭へ戻る