明倫国際法律事務所 Meilin International Law Firm

明倫弁護士事件簿 - case006 パパのオムライス

 公務員の菅野さんは、会社員の妻と5歳になる長男と3人で暮らしていました。

 あるとき、妻が2泊3日で勤務先の社員旅行に出かけた際、3日目の昼に、妻から菅野さんの携帯電話にメールが届きました。

 ところが、それは妻が不倫相手の男性に楽しい旅行だったと伝えるメールでした。しかも、妻と不倫相手が一緒の写真まで添付されていました。このメールは、妻が社員旅行と嘘をついて不倫相手と出かけた旅行の帰りに、不倫相手に送ろうとしたメールを間違って菅野さんに送ってしまったものだったのです。

 菅野さんは、不倫をする妻と生活を続けることはできないと考え、妻が帰宅する前に、長男を連れて両親が住む実家に戻りました。

 

 その後、菅野さんと妻は、離婚について協議しましたが、妻は、離婚はよいが親権は母親がとるのが当たり前だと主張し、菅野さんが断ると、家庭裁判所に長男の監護者を妻と指定すること及び長男を引き渡すことを求める審判を申立てました。

 菅野さんは、審判の呼び出しを受けて心配になり、私のところに相談にいらっしゃいました。

 

 詳しくうかがってみると、菅野さんの妻は、仕事熱心でしたが家事は苦手で、結婚当初から料理や掃除など家事のほとんどを菅野さんが担当していました。また、長男が生まれてからは、保育園への送迎や食事等の世話もほとんど菅野さんが行っていました。さらに、長男が急病になったときなどは、菅野さんの両親がフォローをしており、妻の力を借りることはほとんどなかったということでした。菅野さんは、実家に戻ってからも、ご両親の協力を得ながら、自ら積極的に育児を行い、長男を養育する環境をしっかり整えていました。

 私は、事情を聴き取るだけでなく、実際の生活ぶりを見せてもらうために、お宅にうかがいました。長男が菅野さんと遊んでいる様子からは、安心しきっている様子が一目でわかりました。「パパのお料理で何が好き?」と質問すると、目を輝かせながら「オムライス!ふわふわなんだよ!」と教えてくれました。

 審判手続では、妻は、仕事が忙しく休暇の取得も難しく、妻の両親は遠方にいるため育児への協力は困難なことは認めたものの、夜間保育やベビーシッターを活用して長男を養育していくことは可能で、幼い子どもには何よりも母親とともに生活することが大切だと主張しました。

 私は、菅野さんからの聴き取りや家庭訪問調査の結果をふまえて、長男が菅野さんに懐いていることや養育状況等を細かく報告しました。

 その結果、よりよい養育環境を整え長男との信頼関係もしっかり形成されていることから、監護者には菅野さんがふさわしいと判断され、妻の申立ては却下されました。

 また、その後の離婚調停においても、このような養育環境などがポイントとなって、最終的に長男の親権者を父である菅野さんとして離婚するとの合意に至りました。

 菅野さんと長男は、今も仲良く生活しており、次の夏休みには、2人でキャンプに行く計画を立てているそうです。

 

 通常、幼少の子どもの親権者や監護権者は母親とされることが多いのですが、養育環境や子どもとの関係を丁寧に裁判所にアピールすることで、父親が指定されることもあります。

 また、当事務所では、離婚事件について、ご依頼者は勿論、子どもさんの心情にも配慮しながら、対応させていただいています。

 

 

[2011年6月 月刊はかた掲載] 

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