明倫国際法律事務所 Meilin International Law Firm

明倫弁護士事件簿 - case008 柱の印
~ 借金で困っても、いろいろな対処法があるのです ~

 鈴木さんは、鮮魚店を経営して20年になります。

 奥さんと今年7才になる娘さんとの家族3人で、10年前にローンで購入した一戸建てで生活していました。最近は、不況のあおりを受け売り上げが減って鮮魚店だけでは生活が成り立たなくなり、鈴木さんは、夜は友人が経営する飲食店でアルバイトをするようになりました。それでも、家計は次第に苦しくなり、住宅ローンの支払いが滞るようになりました。

 また鈴木さんは、10年以上前に消費者金融会社から借金をし、その後、借り入れ・返済を繰り返していたのですが、最近ではその返済も滞り、自宅や営業中の鮮魚店へ催促の電話や通知が頻繁になされるようになり、そのため、鈴木さんは毎日不機嫌で、家庭の雰囲気も悪くなっていきました。

 「このままでは家庭がだめになる」と心配した奥さんに説得され、鈴木さんは私の所に相談にいらっしゃったのでした。

 

 鈴木さんの希望は、鮮魚店の仕事を続け自宅も手放したくないので支払いは続けたいが毎月の負担を軽くしてほしいというものでした。

 債務整理にはいくつか方法があるのですが、鈴木さんの相談を詳しく聴いた後、ベストな方法は、弁護士が債権者と返済の見直しについて交渉を行うこと(任意整理)だと判断しました。鈴木さんも、ぜひそうしたいと希望し、私に任意整理を依頼しました。

 

 早速、債権者に対して【受任通知】を送付したところ、債権者の電話や郵便による督促は止まったので、鈴木さんはひとまず安心されたようです。このように鈴木さんの気持ちが落ち着いた状態で、更に詳しく方針を練るため改めて相談をしました。

 その後、私は、まず、鈴木さんの家計を最も強く圧迫している住宅ローンの支払を見直すため、住宅ローン契約の貸し手である金融機関と交渉することにしました。鈴木さんの場合、毎月約13万円の住宅ローンを支払うことになっていたのですが、金融機関に鈴木さんの収入が減少していることや家計表などを示して交渉した結果、毎月9万円を支払う内容に返済条件を変更することに成功しました。

 次に消費者金融からの借入については、鈴木さんは、当初100万円の借金があると話されていました。しかし、取引履歴をもとに検討した結果、鈴木さんは約10年にもわたって適正な金額以上の利息を支払い続けていたこともあり、約50万円の過払いが生じていることが判明しました。その後、この過払金を無事回収し、これは娘さんの教育資金に充てることになりました。

 結局、任意整理を始める前は、毎月約15万円の返済が必要だったのですが、任意整理終了時には毎月約9万円を返済すれば足りることになり、家計にかなり余裕が出るようになりました。鈴木さんは「住宅ローンの支払ができず家を手放さなければいけないと思っていましたが、無事に支払を続けられそうです。家を買ってから、毎年娘の誕生日には家の柱で娘の背丈を測って印をつけてきたんですが、今年も無事に印をつけられたんですよ。来年も測ろうねと約束しました。」と嬉しそうに話していました。
 当初、鈴木さんは、借金の返済ができず経済的に厳しい負担を強いられていましたが、任意整理により負担が軽減し、家族の将来についての不安も解消されたということでした。

 

 本件のように、借金等で困っていらっしゃる方の相談を受けた場合には、経済的負担を軽減することはもちろん、ご依頼者様の生活そのものを再建しよう、という思いをもって取り組んでおります。

 

 

[2011年8月 月刊はかた掲載] 

ご注意
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本文中に登場する人名・店名については架空のものです。