明倫国際法律事務所 Meilin International Law Firm

明倫弁護士事件簿 - case012 よみがえったマンション
~ 管理費滞納問題などのマンション管理上の問題は、法律によりうまく解決できることがあります ~

 マンションの管理組合がきちんと運営されていないと、大規模修繕や必要な補修ができず、最悪の場合、マンションが廃屋と化すおそれがあります。

 弁護士は、このようなことを防ぐため、管理組合のお手伝いをすることもあります。

 

 大友さんは、定年退職した翌年、所有しているマンションの管理組合の理事長に就任しました。数年後には、マンションを売却して故郷に帰ろうと考えていたそうですが、管理組合の実態に愕然として、相談にお越しになりました。

 大友さんのマンションは、長期修繕計画に基づく修繕工事は実施されてきたのですが、施工に問題があったようで、漏水や外壁の損壊などが生じており、築年数の割には外観も随分と古ぼけていました。私たちが確認したところ、管理会社が選んだ施工業者は、管理組合の理事に建築の知識がないのを良いことに低質な材料を使ってレベルの低い工事をしており、そのために建物の傷みが進んでいました。

 また、管理会社が管理費の回収に不熱心だったため、滞納が放置されており、滞納者数は全戸の1割にも達し、長期にわたって滞納を続けている所有者もいました。修繕積立金の滞納もあり、そのままでは、この先、修繕計画どおりの工事は実施できない状況でした。

 

 まず私たちは、管理組合独自でマンションの保守管理に関する業者の選定を行うことにし、複数の候補業者から相見積もりを取って、もっとも納得のいく業者を選定することにしました。

 その結果、以前より3割程度低い価格で、より充実した保守管理ができるようになりました。そのうえで、傷みが進んでいた建物外壁の防水と塗装工事をやり直しました。

 

 次に、滞納管理費についても、本格的な対応に着手しました。

 管理費は、滞納が多額になれば所有者も支払えなくなり、結果として回収が難しくなることが多く、早期の対応が肝心です。また、管理費は5年で時効にかかるので、滞納が5年以上になる前に対応することが不可欠です。

 私たちは、まず、管理費請求の処理手順を作り、通常の管理を徹底することにしました。具体的には、6カ月未満の滞納については管理会社からしっかりと督促をしてもらうこと、滞納が6カ月以上となった場合には、弁護士から内容証明郵便による請求を行うこと、1年を超えた場合には裁判所を通じた支払督促等の手続きやその他の法的手続きを取ることにして、これらをマニュアルにして運用するようにしました。

 それでも支払わない所有者に対しては、賃貸に出している物件については区分所有法に基づいて賃借人から支払われる賃料を差し押さえて回収し、居住物件については、支払督促や訴訟をした上で、給与等の差し押さえを実施する旨を通告したところ、ほとんどの所有者が支払いをしてくれました。

 なお、何年も滞納を続けながら、弁護士からの請求にも「ないものは払えん!」と開き直るような非常に悪質な滞納者に対しては、区分所有法59条1項に基づいて強制競売を申し立ててマンションから排除する旨を通告しました。ここまで来ると、悪質な滞納者も支払いに応じたため、実際に強制競売にかける必要はありませんでした。

 これらの対応を徹底したことは滞納に対する抑止効果も生み、新たな管理費の滞納の発生も、目に見えて減少しました。

 

 当事務所では、大友さんのマンションの管理組合と顧問契約を締結し、その後も継続して、管理会社とは別の視点から管理組合の立場にたってマンション管理についてアドバイスさせていただくことになりました。また、付随サービスとして、居住者の方々に対する無料法律相談の提供もさせていただきました。

 その結果、管理組合からも、居住者の方からも、「安心して住むことができる」との声をいただくことができました。

 

 大友さんは、1年間の理事長の任期を終えた翌年、管理が正常化されたこともあってマンションを比較的良い値段で売却し、現在は、故郷に購入した一戸建での悠々自適の生活を楽しんでいらっしゃいます。

 今年の夏には、家庭菜園で作った立派な野菜をたくさん送ってくださり、事務所一同で美味しくいただきました。

 

 

[2011年12月 月刊はかた掲載] 

ご注意
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本文中に登場する人名・店名については架空のものです。