明倫国際法律事務所 Meilin International Law Firm

明倫弁護士事件簿 - case026 法務代行と円形脱毛症
~ 中小企業の契約書対策や文書対応を効果的に進める方法 ~

 私が講師を務める「中小企業のためのビジネス法律知識実務セミナー」を聴いた寺田さんが、後日相談にいらっしゃいました。寺田さんは、頭を指さしながら、「ストレスで円形脱毛症になったんですよ。管理業務、何とかならないですかね?」とすっかり困り切っていました。

 

 寺田さんは、3年前に、オフィス向けに色々な商品を配達する会社を立ち上げました。きめ細かなサービスが評価されて、売上や取引先が一気に増加し、従業員も15名ほどにまで増えました。ところが、管理部門は手薄で、経理事務の女性社員が、仕入先や納品先との契約締結、売上の管理、未収金の督促、クレーム対応から労務まですべてをこなしていましたが、難しい問題も多く、とてもその女性社員の手には負えなくなったため、寺田さん自身がセミナーを受けて頑張ったのだそうです。

 しかし、営業は得意な寺田さんも、管理業務や法律のことは苦手で、時間ばかりかかって非効率な上、間違いも多く、営業や顧客対応に割く時間が減り、肝心の本業にも支障が出るなどし、思い悩んだ末にストレスから円形脱毛症になったというのです。

 

 実際、私が色々と拝見してみると、インターネット上で見つけてきた契約書をそのまま使って、取引実態に合わない契約書になっていたり、こちらに不利な契約になっているものが多数ありました。また、売掛金も、督促を片手間にやらざるを得ないため、なかなか回収が進まず、未収金が随分増えていました。さらに、顧客から、「損害賠償だ」とか「法的責任をどうする?」というようなクレームもあり、これらの対応を寺田さんが恐る恐るやっていたため、本来なら会社に責任はないのに補償せざるを得なくなったケースもありました。また、従業員が2~3名だった頃と同じような労務管理をしていたので、法律上手当しておくべき規程や取り決めなどもできておらず、労基署の調査でも受ければ、大変なことになると思われました。

 

 そこで、私は、当事務所の「法務代行サービス」を利用することを提案しました。これは、毎月5万円~20万円程度の料金で、基本的な会社の法務事務の代行を行うというものです。寺田さんは、管理部門の担当者を一人増やさざるを得ないかと考えていたそうですが、それよりは法務事務代行サービスの方が費用も安いし、固定費の増加も回避できると判断し、契約することになりました。

 

 その後は、契約書を作る必要が生じたり、取引相手から契約書案を提示された場合は、そのまま当事務所にメールで送ってもらい、当事務所で契約書の作成や修正をするようにしました。また、売掛金回収については、マニュアルを作成し、一定期間遅れたものについては、機械的に当事務所から督促処理をし、場合によっては支払督促等の法的な手続を迅速におこなったため、サービス利用開始から3か月ほどで、売掛金の未収は、8割以上が解消しました。それ以外にも、顧客からのクレームで悪質なものや法的なものについては、その都度担当者から直接当事務所に連絡をもらい、弁護士の判断とアドバイスの下で交渉を進め、担当者からも「気が楽になった」と大変喜ばれました。その他の日常的な会社管理業務についても、気軽に相談してもらえるようになりました。

 このようにして、寺田さんも、後顧の憂いなく営業に専念できるようになり、その後2年間でさらに売り上げを倍増させるまでに至りました。もちろん、円形脱毛症も、このサービスを利用し始めて2か月ほどで、すっかり治ったそうです。

 

 私たち弁護士は、直接営業をお手伝いすることはできませんが、このように専門的な法知識と経験に基づいて管理面をお手伝いすることはできます。それによって、その企業が心置きなくビジネスに集中でき、成長していくのを見ることは、本当に嬉しいことです。

 今後も、引き続き、寺田さんの事業のお手伝いを続けていきたいと思います。

 

 

[2013年6月 月刊はかた掲載] 

ご注意
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本文中に登場する人名・店名については架空のものです。