明倫国際法律事務所 Meilin International Law Firm

明倫弁護士事件簿 - case033 もう治療はできないの?
交通事故で負った傷の治療を中止するよう迫られた。こんなときどうすればいいの?

治療費の打ち切り?

 古藤さんはスーパーでレジ打ちのアルバイトをされている方ですが、1年ほど前、車を運転していたところ後ろから追突されるという事故に遭い、腰を痛めてしまいました。

 加害者は保険に加入していたので、古藤さんはその保険会社から治療費の支払いを受けて治療を継続してきたのですが、事故から5カ月ほど経過した日から、治療をいつまで続けるのか、もう十分治療を受けたではないか、これ以上治療を継続しても治療費の支払いは打ち切る、というような圧力を保険会社の担当者から受けるようになり、精神的に参ってしまいご相談に来られました。

 

治療費はいつまで払ってもらえるのか

 相談室に入ってこられた古藤さんは、事故から半年以上経過しているにもかかわらず、痛めた腰をさすり、椅子に腰かけるのも、体勢を変えるのも、辛そうにされていました。

 ですが古藤さんは、「これでも少しずつ良くなってきているんですよ。」と少し嬉しそうに話をされていました。また医師からも、少しずつ古藤さんの症状は良くなっていると説明されているようです。

 このように治療の成果が少しずつではあるものの出ているため、古藤さんとしては、今後も治療を継続したいということでした。しかしながら、貯金がないため治療費の支払いが打ち切られてしまうと満足な治療が受けられないということでした。

 

 ここまで読んでいただいた方の中には、加害者が治療費を打ち切るなんてけしからん!と思われた方もいらっしゃると思います。

 そこで少し説明をさせていただきますと、加害者が負担する治療費は、原則として「症状固定」、つまり、治療を重ねているにも関わらず、その症状が一進一退の状態となり、今後大きな改善が見込めない状態に至った時までとされています。もっとも、症状固定をもって加害者の負担が一切なくなるわけではなく、一定の場合には加害者が症状固定後の治療費を負担することもありますし、不幸にして被害者の方に障害が残った場合には、後遺障害慰謝料を請求することになります。

 

 ここで古藤さんの話に戻りますと、古藤さんは、保険会社の担当者から、古藤さんはもう症状固定だから今後の治療費の支払いは打ち切ると言われたようです。しかし、症状固定とは保険会社の一方的な判断によって決まるものではありません。

 私どもは、古藤さんやその親族の方のお話を伺い、さらには医療記録を細かに検討していくと、古藤さんの症状は、確かに大きな改善はないものの、「一進一退」ではなく、「一進一進」、少しずつ改善されており、いまだ症状固定とは言えないと判断しました。

 そこで加害者が加入している保険会社の担当者に電話をし、古藤さんの現状や医師の見立てについて伝え、今後も治療を継続する必要があること、その治療費についても加害者が負担すべきであることを申し入れました。

 担当者は、一度検討するといって電話を切ったものの、後日電話があり、治療継続の必要性を認め、保険会社が治療費を負担すると伝えてきました。

 

結果だけではない

 この結果を聞いた古藤さんは、費用の心配なく治療を継続できることを大変喜ばれていましたが、それ以上に、私どもが交渉の窓口となることで古藤さん自身が保険会社から連日かかってくる電話へ対応することがなくなり、ストレスなく治療に専念できたことをとても喜ばれていました。

 

 交通事故、また、今回の古藤さんだけに限りませんが、慣れない交渉をおこなうことで当事者の方々が受けるストレスは非常に大きいもので、多くの方からご相談をいただきます。

 弁護士は、単に法律の専門家というだけではなく、交渉の専門家でもあります。

 今後も、皆様の代理人として皆様により良い成果をお届けしたいと考えておりますが、同時に、皆様のストレス解放のお手伝いもさせていただければと思います。お困りのことがございましたら、ぜひご相談ください。

 

[2014年8月 月刊はかた掲載] 

ご注意
本原稿は、過去に執筆した時点での法律や判例に基づいておりますので、その後法令や判例が変更されたものがあります。記事内容の現時点での法的正確性は保証されておりませんのでご注意ください。
本文中に登場する人名・店名については架空のものです。