明倫国際法律事務所 Meilin International Law Firm

【ベトナム】 貿易救済措置に関する新政令 (2018.4.17up)



1.はじめに


 ベトナムでは、2018年1月15日、貿易救済措置に関する貿易管理法の施行細則を定める政令第10/2018/NP-CD号が公布された。

 「貿易救済措置」とは、WTO協定上認められた不公正な貿易に関する救済措置であり、アンチダンピング関税措置、相殺関税措置、及びセーフガード措置の3つの措置がこれに含まれる。本政令は、これらの貿易救済措置に関して、施行細則を定めるものである。

 「セーフガード措置」とは、一般的に、特定品目の貨物の輸入の急増が、国内産業に重大な損害を与えていることが認められ、かつ、国民経済上の緊急の必要性が認められる場合等に、損害を回避するための関税の賦課又は輸入数量制限等を行うことを指す。

 例えば日本では、2001年4月23日から200日の間、ねぎ、生しいたけ、及び畳表に関してセーフガード措置が発動され、国内生産の体質強化のために、一定の関税割当数量を超える輸入について、品目ごとに、現行関税率に加えて一定の関税率が課された。

 

 

2.セーフガード措置の発動要件等


 本政令では、ベトナムにおけるセーフガード措置の発動要件・セーフガード措置の内容・セーフガード措置の停止等が定められている。

 

① セーフガードの発動要件

 セーフガード措置の発動要件は次の通りである。

+ 輸入の過剰増加

+ 国内産業に対する重大な損害又はそのおそれ

+ 両者の因果関係

+ 国内産業保護上のセーフガード措置の必要性

 

② セーフガード措置の内容

 セーフガード措置としては、追加輸入税を課す措置のみが認められている。

 

③ セーフガード措置の停止

 措置期間中であっても、商工省大臣は、必要に応じて早期に当該措置の適用を停止することができるとされている。

 

 

3.貿易救済措置回避を防止する制度


 また、本政令は貿易救済措置回避の防止制度を初めて規定した点でも注目に値する。

 

① 貿易救済措置回避行為の種類

貿易救済措置回避行為としては、次の種類の行為が規定されている。

+ ベトナムにおける生産・組立による貿易救済措置回避行為

+ 第三国における生産・組立による貿易救済措置回避行為

+ 貿易救済措置の適用対象となる品目の些細な変更による貿易救済措置回避行為

 

② 貿易救済措置回避行為か否かの審査内容

貿易救済措置回避行為か否かの審査においては、特に次の事項が審査される。

+ セーフガード措置回避行為の確定

+ セーフガード措置回避行為と貿易救済措置発動のための原産地又は輸出国からの貿易状況の変更との間の因果関係の有無

+ 国内産業の損害及び当該セーフガード措置への効果の悪化の有無

 

③ 貿易救済措置回避行為を行った場合の措置

 なお、貿易救済措置回避行為を行ったと認定された場合は、調査対象となる品目の貨物の生産者・輸出者に対しても、当該貿易救済措置が適用されることがある。

 

 

4.政令等の失効


 本政令の施行により、次の政令等が失効した。

・ベトナムへの海外商品輸入におけるセーフガードに関して国会常務委員会令の施行細則を定める2003年12月8日付政令第150/2003/ND-CP

・ベトナムへの海外輸入商品に対する反補助金に関して国会常務委員会令の施行細則を定める2005年7月11日付第89/2005/ND-CP号

・ベトナムへの輸入商品のアンチダンピングに関して国会常務委員会令の施行細則を定める2005年7月11日付政令第90/2005/ND-CP号

・アンチダンピング・反補助金・セーフガードに関する事件処理評議会の設立・機能・任務・権限・組織を定める2006年1月9日付政令第04/2006/ND-CP号

 

 

(2018.4.17up)