明倫国際法律事務所 Meilin International Law Firm

【ベトナム】 新競争法  (2019.7.1up)



 独占禁止法にあたるベトナムの「競争法」の新法(法律番号23/2018/QH14)が2018年6月に成立し、2019年7月1日より施行された。新競争法の主な特徴は、①適用対象の拡大、②判断基準の実質化(悪く言えば曖昧化)である。

 

①適用対象の拡大
 競争法の適用対象は、旧法では、外国人を含むベトナム国内の事業者(旧法2条1項)であったが、新法では、関連を有する国内外の機関、組織、個人が適用対象になる(新法2条3項)。すなわち、関連があれば、ベトナム国外の事業者も適用対象になりうる。

 

②判断基準の実質化
  旧法は競争制限的協定を8つ定めているが、そのうちの3つは全面的に禁止され、5つは30%以上の市場占有率を有する場合に禁止となる(現行法8条、9条)。これに対して、新法では競争制限的規定を11規定しているが、3つの全面禁止を除き、競争制限的協定が、市場に対して、「相当な、かなりの程度の(原文một cách đáng kể)」市場制限効果を生じる場合又は生じる可能性がある場合に禁止される(新法12条)。この「相当な、かなりの程度」の判断は、市場占有率、研究・発展・刷新に対する制限の程度、顧客に対する費用的、時間的負担を増すか否か等、6つの要素により判断され、政府はその詳細を今後定めることとなっている(新法13条)。
     合併、買収などの経済集中についても、旧法は、市場占有率が50%を超える場合は禁止、30%から50%となる場合は事前に当局に届け出が必要となっている。しかし、新法では、競争制限的協定と同様に、「相当な、かなりの程度」の制限となる場合に禁止され(新法30条)、「相当な、かなりの程度」の判断は、参加企業の市場占有率、経済集中の前後の集中状況の比較など7つの要素によりなされ、政府が今後その詳細を規定することになっている(新法32条)。
  このように、新競争法においては、形式的な基準ではなく、実質的な基準により規制対象になるか否かを判断することになる。今後、政府が判断基準を具体化する政令(議定)を発行することが予定されているが(新法13条2項、32条2項)、その発行の前後を通して十分な事例が蓄積されるまでは、その判断につき慎重な対応が求められる。

 

 

(2019.7.1up)