明倫国際法律事務所 Meilin International Law Firm

【ベトナム】 ベトナム投資法、企業法の改正について [後編:企業法] (2019.7.16up)



第2 企業法

 

 企業法については、有限責任会社を設立しようとする投資家に関係するものとして、行政手続き期間が出資期間に算入されないことが明記されたこと、二人以上社員有限責任会社で監査役会設置に関して企業の選択肢が増加したことなどの修正がなされている。株主代表訴訟等の少数株主権行使につき、一律に株式保有期間要件が撤廃されている。

また、理論的には、経営世帯という法的性格が明確でない概念を企業法が規律しようとしていることが大きな変更点といえる。主要な修正の詳細は以下のとおり。

 

1.経営世帯(2条1項、同51項)

 企業法が株式会社等の企業に加えて、「経営世帯」をも規律することになった。経営世帯は登記が必要で、構成員が複数のときは必ず代表者一人を選定しなければならず、その代表者が経営活動の責任を負い、訴訟等では当事者になるのはその代表者であるという。法人格の有無及び構成員の責任制限の有無(現時点の私見では構成員は無限責任を負うように思われるが)については、文言上明確に判断できない。

 

2.出資期間制限に対する未算入期間の存在の明記(2条15条)

 有限責任会社設立時の出資の期間制限は企業登記証明書(いわゆるERC)発給後90日と変わらないが、海外からの財産出資の場合に必要となる通関などの行政手続き実施中の期間は、90日に算入されないことが明記された。

 

3.二人以上社員有限責任会社における監査担当機関の拡大(2条17項)

 社員が11人未満の二人以上社員有限責任会社においては、監査役会は任意的に設置できることは現行法と同じであるが、会社が監査役会設置にかえて、外部の会社に監査を行わせるという選択肢が増えた。

 

4.二人以上有限責任会社における監査役会の規定新設(2条19号)

 現行法では、社員数11人以上の二人以上社員有限責任会社は必要的に、社員数11人未満の同会社は任意的に、監査役会を設置することが予定されている(現行企業法55条)が、同会社における監査役会に関する規定が存在しなかった(一人社員有限責任会社、その一つの形態である国営企業、株式会社においては監査役会に関する規定がある)。本ドラフトでは、二人以上有限責任会社における監査役会の規定が新設されたが、その多くの内容は国営企業の監査役会の規定を引用している。

 

5.組織(会社)が所有する一人社員有限責任会社における監査役会設置の任意化(2条22号)

 これまで必要的であった、組織(会社)が所有する一人社員有限責任会社における監査役会設置が、任意となった。監査役会にかえて、監査を行う外部の会社に監査を任せることも認められた。

 

6.国営企業の概念の拡大(2条26項)

 現行企業法では、国家が100%定款資本を有する企業が国営企業であった(現行企業法第4条8項)。本ドラフトでは、国家が51%以上の定款資本又は議決権を有する企業が国営企業としており、国営企業となる企業の対象が拡大している。

 

7.少数株主権行使要件の緩和(2項34号、45号)

 現行企業法では、株主が取締役候補者の推薦、取締役会議事録簿の謄本請求など行うにつき、6か月以上継続して普通株式の10%以上を保有することが要件であった(現行企業法114条2項)。本ドラフトでは、それら権利行使のために、株主1%以上の普通株式を有すれば足りることになった(2項34号)。さらに、株主代表訴訟についても、現行法の、6か月連続した普通株式数の1%以上保有という要件が緩和され、本ドラフトでは、6か月連続という期間要件が撤廃されている(2項45号)。

 

 

(2019.7.16up)