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ベトナムの進出のための情報や、コンプライアンスや契約・紛争などの進出後の問題、基本的な規制や最新の法改正など幅広い情報を提供します。

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ワクチンパスポートを用いたベトナム入国について(2021年10月15日現在)

2021/10/17  

 現在ベトナムへの入国についてはワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)を用いることで入国時の集中隔離期間を短縮することができます。これにより、ベトナムへの渡航コスト削減や渡航スケジュールの短縮化を図ることができます。

ベトナムへの渡航手続について弁護士の原智輝が解説します。

ベトナムへの渡航方法と隔離について

 現在のベトナム渡航については、大きく入国後の集中隔離、集中隔離終了後の自主隔離が時期に応じて設定されています。概ね集中隔離は2週間、自主隔離は1週間になります。ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)を用いると、このうち集中隔離期間を短縮できるということになります。なお、集中隔離というのは予約した宿泊施設での隔離、自主隔離は自宅での隔離という意味になります。

 また、現在の渡航制度は原則としてビジネス目的の渡航に限定されています。ビジネス目的の渡航というと、現地調査や駐在など様々な形態があるところですが、現行制度運用上、ビジネス目的による渡航であるかどうかは、通常、ワークパーミット(WP)を所持しているかどうかにより判断されています。ワークパーミットは労働許可証などとも表現されます。このWPはベトナム労働法にも規定があり、同法では、外国人に対するWPはベトナム人人材では対応できない労務について就業できる外国人人材に対して発行される旨の定めが置かれています。この規定は、国内労働市場を保護する目的から置かれており、いわゆる専門技術者としての外国人に対してWPが発行されることになります。

 この裏返しとして次のような場合にはWPが取得できない等の関係から現行制度での入国は難しいということになります。

 ・ベトナム現地法人で事務スタッフとして勤務予定の外国人(専門性等がないため)

 ・専門技術を有しているが、勤務先で当該専門技術とは無関係の業務に就く場合

 逆に現在ベトナム渡航に適している方の例としては

 ・現地法人があり駐在/出向予定である方

 が典型的です。

ベトナムへの渡航手続

ベトナム渡航手続は、上記WPをはじめとする各種申請書類を準備し申請することになります。申請後、概ね1か月から1か月半程度の期間で入国許可が発行されます。入国許可取得後は、渡航前にPCR検査を行うほか通常のベトナム渡航と大きく変わりません。現在では成田空港発の便となることが多いかと思われますが、国際空港カウンターで通常通りチェックインを行い、必要に応じて、申請書類の写しや直前のPCR検査結果の提示がある場合があります。チェックイン後は通常通り出国します。ベトナムに到着後、新規ビザが必要な方はアライバルビザを入国審査前に取得することができます。所定のフォームと手数料、顔写真が必要なだけで、特段負担のかかる手続ではありません。

 入国手続後は集中隔離施設への移動となります。集中隔離施設と言っても事前に予約を行ったホテルになります。従前はこのホテル客室内で2~3週間の待機が必要でしたが、ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)の提示を上記の入国申請手続時に提示しておけば現在これを1週間に短縮することができます。

ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)の取得方法

 ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)の取得方法ですが、基本的には日本国内で2度ワクチンを接種した方は、厚労省のホームページ記載の海外渡航用のワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)の申請欄記載の手続に従って申請を行うことで取得が可能です。ただし、この接種証明書は日本国内で2度接種している方を対象としているため、第1回を外国(例えばベトナム)、第2回を日本としてしまっている場合、発行されないおそれがあるのでご注意ください。また、今後、3回接種が基本となった場合にも同様の危惧が予想されますので、接種国についてはどこか1か国に統一しておく必要があります。

 なお、ベトナムで2度接種した場合にもワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)が発行されており、日本帰国前に2度目の接種を終え、再度ベトナムに入国する際にワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)を用いた集中隔離期間の短縮制度を利用することも可能です。