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ベトナムの進出のための情報や、コンプライアンスや契約・紛争などの進出後の問題、基本的な規制や最新の法改正など幅広い情報を提供します。

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プロジェクトに対する抵当権設定

2020/07/21  

 ベトナムにおける抵当権の設定に関する新たな通達(07/2019/TT-BTP)により、2020年1月10日から、以前の通達(09/2016/TTLT-BTP-BTNMT)では抵当権の設定対象とされていなかった建設投資関係のプロジェクトも抵当権設定対象の範囲に含まれることとなりました。本改正で、住宅建設投資プロジェクト、住宅以外の建物建設投資プロジェクト、その他建設投資プロジェクトが抵当権設定対象となりました。この通達以前では、プロジェクトから派生する個々の財産権に応じて抵当権を設定する必要がありました。そのため、抵当権実行にもプロジェクト事業者の協力が必要とされていました。

 本改正により、銀行はプロジェクト自体に抵当権を設定することで、プロジェクトから派生する個々の財産権を包括的に抵当対象とすることができ、抵当権者となる銀行は、被担保債権の弁済が得られない場合、プロジェクトを譲り受け、他の投資家に販売する形で被担保債権を回収することとなります。

 なお、従前の財産権に対する抵当権設定登記は、司法省の担保取引国家登記局に所属する担保取引登記センターで行われていました。本改正により、対象となるプロジェクトの抵当権設定登記は、資源環境局に所属する土地管理事務所で行います。しかし、抵当権設定登記手続において、当該投資プロジェクトの土地使用権証明書を提出する必要があるものの、実際の投資プロジェクト事業者と土地使用権者が異なる場合が多く、今後の課題とされています。また、土地使用権証明書を必要としない投資プロジェクトもあるため、土地使用権者の協力が運用上必要となる結果、場合によっては投資プロジェクトの抵当権設定登記ができないという問題点も指摘されています。