ベトナム進出情報Q&A

ベトナムの進出の際のキーポイントや注意すべき点などをQ&A形式で
お伝えします。

ベトナムの進出の際のキーポイントや注意すべき点などを
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ベトナム法人に対して日本から技術提供を行う場合の注意点を教えてください。 ベトナム法人に対して日本から技術提供を行う場合の注意点を教えてください。

ベトナム法人に対して日本から技術提供を行う場合の注意点を教えてください。

進出手続きと外資規制
ベトナム法人に対して日本から技術提供を行う場合の注意点を教えてください。 ベトナム法人に対して日本から技術提供を行う場合の注意点を教えてください。

①移転できる技術の範囲

ベトナムの技術移転法(07/2017/QH14)では、移転可能技術には次のようなものが挙げられています(法4条)。

・技術ノウハウ

・技術計画とプロセス、ソリューション、パラメーター、図面、技術図、数式、コンピュータソフトウェア、データ情報

・生産と技術革新を合理化するソリューション

・上記対象に付随する付属機械設備

これに対して、法11条は移転禁止技術を定めており、次のようなものが挙げられています。

・労働安全衛生や環境保護関連法令の要件を満たさない技術

・社会経済の発展阻害製品の創出技術、国防や治安、社会秩序に悪影響を及ぼす技術

・発展途上国において広く使用や移転されない技術であり、国家技術基準及び規制を満たさない技術並びに当該技術が付随する機械設備

・毒性化学物質の使用又は危険廃棄物を排出する国家技術基準及び規制を満たさない技術

・放射能物質の使用又は製造を行う国家技術基準及び規制を満たさない技術

また、これら移転禁止技術への該当可能性がある場合、政令(76/2018/ND-CP)の別表3により、更に具体的に禁止技術の内容を窺い知ることができます。

両者の中間に位置するものとして移転制限が定められている技術があり、法10条では次のような技術が挙げられています。

・産業化国家において広く使用されていない技術及び当該技術が付随する機械設備

・毒性化学物質の使用又は危険廃棄物を排出する技術

・放射能物質の使用又は製造技術

・国内発掘規制が置かれる資源及び鉱物を使用する技術 など

②移転する方法

上記技術の移転については、法5条により独立した技術移転契約、投資プロジェクト、技術移転による財産出資、フランチャイズ契約、知的財産譲渡、付属機械設備の売買などの方式によるとされています。

③登録手続

移転制限技術の移転については、移転元が移転許可申請を行い、移転承認又は許可を取得しなければなりません。なお、投資プロジェクト申請において、既に当該技術移転に関する判断が行われている場合は、別途承認等を取得する必要はありません(法28条)。

④価格の妥当性

移転価格を目的とする関係者間の技術移転契約を締結する事例が過去に少なくなく、そのため、関係者間の技術移転契約に対して、税務査察の際、契約額が妥当かどうかという点について厳しく審査されます。当該契約額の妥当性を証明できない場合は、税務局の市場価格評価基準に基づき、価格を強制される可能性があります。そのため、技術移転契約を締結する時は、契約額が妥当かどうか、それを証明できる根拠等を事前に整備する必要があります。

Q:ベトナム法人と日本法人との間に締結するライセンス契約の注意点を教えてください。

ライセンス契約について、知的財産法50/2005/QH11号および36/2009/QH12号(以下、併せて「法」といいます。)に定めがあります。それに基づき、ライセンス契約を締結する際、以下の点について主に注意を払う必要があります。

①ライセンス契約の種類

工業所有権の行使に係るライセンス契約は、次の種類があります(法143条)

(1) 【排他的ライセンス契約】当該契約に基づいて、実施権者が、ライセンスの範囲及び期間内において、当該工業所有権を行使する排他的権利を有し、他方、実施許諾者は、工業所有権の行使に係るライセンス契約を如何なる第三者とも締結することができず、また実施権者の許可なしに、当該工業所有権を行使することができない契約をいいます。

(2) 【非排他的ライセンス契約】当該契約に基づいて、実施許諾者が、ライセンス許諾の範囲及び期間内において、当該工業所有権を行使する権利及び他人と非排他的契約を締結する権利の双方を有する契約をいいます。

(3) 【工業所有権の行使に係るサブライセンス契約】当該契約の実施許諾者が、他の契約に基づく工業所有権の実施権者である契約をいいます。

②ライセンス契約の内容

工業所有権の行使に係るライセンス契約は、以下の内容を定めなければなりません(法144条)。

(a) 実施許諾者及び実施権者の完全名称及び住所

(b) ライセンスの根拠

(c) 契約の種類

(d) ライセンスの範囲(実施の制限、領域的制限)

(dd) ライセンスの期間

(e) ライセンスの価格

(g) 実施許諾者及び実施権者の権利義務

また、工業所有権の行使に係るライセンス契約は、不当に実施権者の権利を制限する規定、特に実施許諾者の権利から派生しない規定を定めてはなりません。

③ライセンス契約の登録

商標を除く他のライセンス契約では、登録に基づいて確定された工業所有権について、ライセンス契約を登録しなければ第三者対抗要件を具備できない点に注意が必要です。