ベトナム進出情報Q&A

ベトナムの進出の際のキーポイントや注意すべき点などをQ&A形式で
お伝えします。

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ベトナムでは試用期間の設定はできますか。 ベトナムでは試用期間の設定はできますか。

ベトナムでは試用期間の設定はできますか。

労働法令・労務管理
ベトナムでは試用期間の設定はできますか。 ベトナムでは試用期間の設定はできますか。

試用契約の内容や期間等に定めがありますが、可能です。

ベトナムは試用期間の設定に関する法令として労働法(10/2012/QH13)及び政令(No.05/2015/NĐ-CP)によって、定められています。なお、労働法については改正決議が既に行われており(45/2019/QH14)、2021年1月1日より施行される点に注意が必要です。

試用契約の可否については労働法26条に定めがあり、当事者間の合意により試用契約を締結することができるとされています。ただし、12か月未満の労働期間を対象とする季節的労働契約については試用契約を締結することができません(法26条2項)。また、試用契約を締結する場合には、法定事項を契約の内容としなければなりません(法26条1項)。もっとも、契約必要事項は、労働契約法による記載すべき項目から、昇給制度や社会保険及び医療保険、職業技能水準の向上といった項目を除いたものになります(法26条1項、23条1項)。なお、試用契約においても、給与について、当然両者で合意することができますが、同種の業務に対する給与の85%が下限とされています(法28条)。

次に試用期間については、業務性質及び複雑性の程度によって試用期間を設定することが認められていますが、下記のように試用期間の上限が設けられている点に注意が必要です。また、試用契約は、一つの業務に対して一回のみ設定できます(法27条本文)。

1. 短期大学以上の専門技術程度を要する職位の業務:60日を超えない。(法27条1号)

2. 職業訓練学校、専門学校、技術を持つワーカー、経験を持つ事務補助職の専門技術の程度を要する職位の業務:30日を超えない。(法27条2号)

3. その他の業務:6営業日を超えない。(法27条3号)

試用期間中から試用期間満了時までの間に、当該試用期間中の労働者が雇用主側の期待に沿っているものかどうかの判断をする必要があります。労働者の試用期間の労働が満足できるものである場合、雇用主は当該労働者と労働契約を締結しなければなりません(29条1項)。他方で、これに及ばなかった場合、労働者は事前通告及び補償の義務を負うことなく試用契約を解除できます(29条2項)。ただし、このような試用契約の解除権は、当事者間の合意を満たさない場合に限られている(29条2項)ので、試用契約中にどのような場合がこれに該当するのか明記しておくことが望ましいでしょう。なお、このような項目は、試用契約の必要的記載事項ではありません。

いずれにしても、雇用主は、試用者との間で労働契約を締結するか試用契約を解除するかいずれかの方法をとらなければなりませんが、試用期間の上限が30日以上の労働者に対しては期間満了の3日前までに、「その他の業務」の場合には試用期間終了時までに、雇用者は試用者に対して通知を行わなければなりません(政令7条1項及び2項)。

冒頭記載のとおり、2021年1月1日から労働法が改正され、現行法の運用から数点変更されます。変更の1点目は、試用契約書に記載すべき事項について、労働契約書の記載事項変更に伴い当該契約書には契約締結者の氏名や肩書等も加えることとなりました(改正労働法21条1項a))。また、季節的労働契約制度が廃止されることに伴い、従前12か月以上の労働契約期間の場合に用いられてきた有期労働契約が、12か月未満の場合にも用いることができるようになりました。加えて、試用期間を設定できないのは、有期労働期間が1か月未満の場合とされたため(改正労働法24条3項)、以前よりも試用契約選択の幅が広がったと言えます。

次に、試用期間の設定について、新たに企業管理者との試用契約において、試用期間を180日とすることが認められました(改正労働法25条1項)。

最後に、従前は、試用期間中から満了までの間、雇用者は合意項目に反する場合に限り試用契約を解除できるものとされていましたが、解除の理由に関する要件が不要となった結果、理由を問わずに試用期間中の試用契約を解除できるようになりました(27条2項)。