ベトナム進出情報Q&A

ベトナムの進出の際のキーポイントや注意すべき点などをQ&A形式で
お伝えします。

ベトナムの進出の際のキーポイントや注意すべき点などを
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ベトナムの会社(解散)清算の方法や手続、注意点を教えてください。 ベトナムの会社(解散)清算の方法や手続、注意点を教えてください。

ベトナムの会社(解散)清算の方法や手続、注意点を教えてください。

ベトナムからの撤退
ベトナムの会社(解散)清算の方法や手続、注意点を教えてください。 ベトナムの会社(解散)清算の方法や手続、注意点を教えてください。

会社の清算手続については、企業法(68/2014/QH13)201条に解散事由を定めており、(i)定款記載の事業期間の満了、(ii)当該会社の決定機関による解散の決定、(iii)当該会社が企業法で規定される最低社員数を満たさないにもかかわらず、6か月間継続して企業形態の転換を行わない場合、(iv)企業登記証明書(ERC)が取り消された場合とされています。(iv)の場合による解散を除けば、解散手続に進む前に、企業は、支店、駐在員事務所、経営拠点がある場合、当該支店等の活動終了手続を支店等が設置されている地の企業登記室において行う必要があります(政令(78/2015/ND-CP)59条1項)。また、(ii)の場合は解散の決議を行いますが、一人有限責任会社で社員総会を設置している場合は社員総会の普通決議、会長職を置いている場合は会社所有者の決定がこれに相当します。二人以上有限責任会社の場合は、出席社員の75%の賛成による決議がこれにあたり、株式会社の場合は出席株主の65%の賛成の決議により解散手続が進行します(企業法56条2項m)、60条2項d)、同条3項a)、75条1項m)など)。これら決議の内容には、解散企業の名称や本店所在地、解散理由、解散企業の契約義務の履行や弁済期限(決議日から6か月を超えることはできません)、労働契約から生じた各債務の処理実施計画、法定代表者の名称や署名が含まれていなければなりません(法202条1項)。

企業が解散決議を行うと、財産隠匿、分散、債権の放棄や減額、解散と関連性のない新規契約の締結などが禁止され(法205条1項)、これらの違反は損害賠償のみならず、刑事責任まで発展する可能性があります(同条2項)。

解散決議後は、解散に関する通知手続に移行します。解散決議が行われると7営業日以内に、企業登記機関、税務機関、労働者へ決議の議事録が送付され、解散決定が国家企業登記ポータル上に掲載される必要があり、企業が未払債務を負う場合は、債務弁済実施計画案を添付の上、各債権者及び利害関係者に債権者指名、住所、債務額弁済期限、弁済地及び弁済方法などを送付しなければなりません(法202条3項)。関連して、企業登記機関への通知においては決議の議事録の写しの添付が必要です(政令59条2項)。

各利害関係者等への通知を経た後は清算手続に入りますが、企業債務の弁済について企業法が優先順位を設けている点に注意が必要です。法202条5項では、企業債務の弁済の順序として、労働契約から生じる給与手当等の弁済を行わなければならず、続いて租税債務、一般債務の順に弁済をすることが定められています。清算手続上の注意点として、解散に伴い従業員を解雇する場合、勤務期間1年につき、半月相当の賃料を退職手当として支払う必要があるため(労働法(10/2012/QH13)48条1項)、退職金も含め弁済可能か否かを検討することが重要です。

債務弁済が終了し、なお残余財産がある場合、株式や持分割合に応じて企業出資者への分配が行われます(法202条6項)。また、債務弁済後は5営業日以内に企業登記機関に対し、解散申請書を送付することとなります(法202条7項)。この申請書は、企業財産清算報告書(解散に関する通知、債権者名簿、弁済済み各租税債務、社会保険料債務を含む弁済済み債務額のリスト、企業解散決定後の労働者名簿などで構成されるもの)、企業の印鑑及び印鑑証明書、企業登記証明書などが併せて必要です(法204条1項)。なお、印鑑を公安機関により発給されている企業は、当該印鑑及び印鑑証明書を返却しなければならないため、この場合、返却に伴って交付される印鑑回収済証明書を印鑑等に代えて提出することとなります(政令78/2015/ND-CP59条5項)。

企業登記機関は、解散申請書受領から5営業日以内又は当該企業の解散に関する意見又は異議が関係当事者より申し出されず、180日が経過したときは、国家企業登記データベース上の企業のステータスを解散状態に変更し、解散通知を行います(法202条8項、政令59条4項)。

企業登記証明書が取り消されたことで解散手続を行う場合、企業は取消しを受けた日から10日以内に解散決定のための決議手続をとらなければなりません(法203条2項)。決議後においては、上記の他の場合と同様の手続を辿ることとなります。ただし、対象企業の国家企業登記ポータル上のステータスは、企業登記証明書が取り消されるのと同時に解散手続中である旨表示がなされます(法203条1項)。