ベトナム進出情報Q&A

ベトナムの進出の際のキーポイントや注意すべき点などをQ&A形式で
お伝えします。

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ベトナムの支店や駐在員事務所を閉鎖するときの手続を教えてください。 ベトナムの支店や駐在員事務所を閉鎖するときの手続を教えてください。

ベトナムの支店や駐在員事務所を閉鎖するときの手続を教えてください。

ベトナムからの撤退
ベトナムの支店や駐在員事務所を閉鎖するときの手続を教えてください。 ベトナムの支店や駐在員事務所を閉鎖するときの手続を教えてください。

ベトナムにおける外国企業または外国人(以下、あわせて「外国商人」といいます)が設立した現地支店及び駐在員事務所の閉鎖については、政令(07/2016/ND-CP)35条1項に定めがあり、次の場合に閉鎖することができます。

(i) 外国商人の要請があった場合

(ii) 外国商人が設立国又は事業登録している国の法律に従い、その事業を終了した場合

(iii) 駐在員事務所又は支店の設立許可証の期限が満期になったが、外国商人が延長を求めない場合

(iv) 駐在員事務所又は支店の設立許可証の期限が満期になったが、許可証発給所轄機関は延長を認めなかった場合

(v) 駐在員事務所又は支店の設立許可証が取り消された場合

(vi) 設立許可要件に該当しなくなった場合

このうち、(v)にいう駐在員事務所又は支店の設立許可が取り消される場合は、政令44条に定めがあり、(a)当該駐在員事務所又は支店が1年間活動を行わず許可発給機関との取引がない場合、(b)連続する2年間で駐在員事務所又は支店の活動報告を怠った場合、(c)報告送付期限を渡過したとき又は書面による報告要請があったにもかかわらず、6か月間報告を怠った場合、(d)法令の他の規定に定めがある場合とされています。また、(vi)についてはベトナムが締結する条約の内容に変更が生じた場合などもこれにあたります(政令7条及び8条)。

閉鎖要件に該当する場合、設立許可取消の場合を除き、駐在員事務所又は支店事業終了通知を行わなければなりません。旧政令では事業終了予定日の30日前における通知が定められていましたが、現行政令では通知期間の定めが置かれておらず、債権債務関係処理を行うために適切な時期をもって通知を行えば足りると考えられます。

また設立許可証発行期間への閉鎖書類提出も必要となり、閉鎖書類は次の書面一式となります(政令36条1項)。

(i) 事業終了通知(省令11/2016/TT-BCTに定められた様式があります)

(ii) 延長不許可の許可証発給機関の文書の写し又は許可書取消文書がある場合はその写し

(iii) 債権者一覧表、租税債務及び社会保険債務を含む未払債務

(iv) 労働者一覧表及び当該労働者の権利

(v) 設立許可証の原本

駐在員事務所又は支店の閉鎖にあたっては、閉鎖に先立ち未履行債務の履行や租税債務等の各種弁済をする必要がありません。これは駐在員事務所又は支店においては外国商人が義務主体であることから、駐在員事務所又は支店が閉鎖されても当該義務が消滅しないからです(政令38条2項)。ただし、駐在員事務所又は支店の印鑑を返却し、銀行口座の閉鎖手続なども絡んでくる関係で義務が残存するとしても閉鎖認可が下りない可能性がありますので、閉鎖前の事前弁済が実務上は望ましいと言えます。

また、このような閉鎖手続と併せて事業終了について、当該駐在員事務所又は支店の所在地において、終了の旨を掲示する必要があります(政令38条1項)。

許可証発給機関は、閉鎖書類の適法性を確認した後は、5営業日以内にそのウェブページ上において駐在員事務所又は支店の閉鎖を公開し、登録を抹消します(政令37条3項)。

以上の手続にて駐在員事務所又は支店の閉鎖が完了しますが、一般的な商法の規定に基づき設立された駐在員事務所又は支店の手続になり、特別法に基づく場合には異なる手続が必要となるので注意が必要です。