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コラム

COLUMN

特定商取引法改正について

企業経営・販売・広告

2023.07.04

執筆者:弁護士 堀田明希

1 令和3年改正

 ご存知の方も多いと思いますが、「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律」が令和3 年6 月16 日に公布されています。いわゆる送り付けビジネスに関する改正は令和3 年から既に施行されていますが、通信販売の申し込みに関する規定等は令和4 年6 月1 日から施行がスタートしました。
 既に施行より半年経過していますが、通信販売事業を営まれている企業におかれましては、この機会に改めて対応に不備がないかご確認いただければ幸いです。

2 通信販売の申し込み書面及び画面厳格化

 特定商取引に関する法律(以下「法」といいます。)12 条の6 によれば、事業者が定める様式の書面やインターネットの販売用WEB サイトを用いて※1 顧客が売買契約等の申し込みを行う場合、

  • 分量(法12条の6第1項1号)
  • 販売価格(対価)(同項2号、法11条1号)*販売価格に商品の送料が含まれない場合には商品の送料も記載
  • 代金の支払の時期及び方法(同項2号、法11条2号)
  • 引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)(同項2号、法11条3号)
  • 申込期間に関する定めがあるときは、その旨及び内容(同項2号、法11条4号)
  • 申込撤回又は解除に関する事項(同項2号、法11条5号)

を書面またはWEB サイトの最終確認画面に表示しなければなりません。
 なお、広告で上記の事項を表示していた場合であっても、別途申込書等に表示しなければ遵守したことになりませんのでご注意ください。
※1 テレビの通信販売を見た顧客が電話で申し込む場合は適用がありません。

3 誤認表示の禁止

 また、法12 条の6 は、2 項において書面の送付やWEBサイト上のボタンをクリック(情報送信行為)する行為が契約の申し込みになることを誤認させるような表示(1号)、2で記載した各事項について誤認させるような表示(2 号)をいずれも禁止しています。
 例えば、「次へ」とだけ書かれたボタンをクリックしたら契約の申し込みが完了する場合などは、誤認させるような表示に該当する恐れがあります。

4 違反の効果

 まず、2に記載の表示を怠った場合、顧客が表示に関する事項が存在しないと誤認して申し込んだ場合には契約が取り消される恐れがあります(法15 条の4)。例えば、送料の記載がない場合、「送料無料」であると勘違いをして申し込んだ顧客は、契約の申し込みを取り消すことができます。事実でない表示を行った場合も、当該表示により誤認して顧客が行った申し込みは取消が可能となります。
 また、3に記載した誤認させるような表示をした場合については、同じく当該表示により誤認して契約を申し込んだ顧客は、申し込みを取り消すことが可能となります。
 さらに、2に関する違反については、3 年以下の懲役又は(及び)300 万円以下の罰金に(法70 条1 号)、3に関する違反については、100万円以下の罰金に(法72条1項4号)処される恐れもありますのでご留意ください。

5 おわりに

 紙面の関係上、通信販売の申し込み書面及び画面厳格化に関するご説明は以上となりますが、「通信販売の申し込み段階における表示についてのガイドライン」(令和4 年6月22 日付通達別添8)には具体例も踏まえた説明がありますので、当該ガイドラインもあわせてご確認いただくことをお勧めいたします。

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  • 本原稿は、過去に執筆した時点での法律や判例に基づいておりますので、その後法令や判例が変更されたものがあります。記事内容の現時点での法的正確性は保証されておりませんのでご注意ください。

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