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コラム

COLUMN

CE マーキングについて

企業経営・販売・広告

2022.11.02

執筆者:弁護士 石井 靖子

1 CE マーキングというものを耳にされたことはありますか?
 当事務所では、最近、CE マーキングに関するご相談を受ける機会が増えていますので、ご紹介したいと思います。

 CE マーキングとは、EU(European Union:欧州連合)各国の安全基準を統一することで、製品に対して一定の安全水準を確保するとともに、製品がEU 域内を自由に流通できるようにすることを目的とした制度のことをいいます。日本からヨーロッパに製品を輸出する場合は、ヨーロッパの安全基準を充たしていることを証明するために、CE マーキングが必要になります。
 ただ、すべての製品にCE マークを付ける必要があるわけではありません。
 現在、CE マークを付けることが義務付けられているのは、以下の25 製品です。

①埋込式能動医療機器、②ガス燃焼機器、③旅客用ロープウェイ設備、④建築資材、⑤エネルギー関連製品、⑥電磁環境両立性、⑦防爆機器、⑧民生用爆薬、⑨熱水ボイラー、⑩体外診断用医療機器、⑪昇降機、⑫低電圧電気機器、⑬機械、⑭測量機器、⑮医療機器、⑯屋外用機器の騒音(建設、ガーデニング用機器)、⑰非自動重量測定器、⑱身体保護用具、⑲圧力設備、⑳花火、㉑ラジオ・通信端末設備、㉒レジャー用船舶、㉓電気・電子機器における特定有害物質の使用制限、㉔玩具、㉕簡易圧力容器

2 CE マークをつける義務を負うのは、製品の製造業者です。実際には、海外の下請業者などに製品の設計や製造の全てを委託しており、一切ものづくりを行っていないという場合でも、製品に自己の名称または商標をつけて販売する場合は、その業者が製造業者として、CE マーキングをする義務を負います。製造業者は、単に製品にCE マークをつけるだけではなく、下記⑴~⑹に記載の事項を実施しなければなりません。

⑴ EU 指令の選択:
 製品に適用されるEU 指令を選択します。
⑵ 整合規格の選択:
  EU 指令に定められた整合規格の中から、当該製品が関係する規格を選択します。整合規格とは、該当するEU 指令に適合していることを推定可能とする技術仕様のことをいいます。
⑶ 適合性評価:
  整合規格の中から選択した規格の要求事項を、製品が充たしているかを一つ一つ評価し、適合するように対策を行い、適合したことを示すテストレポートなどを作成します。
⑷ 技術文書作成:
 テストレポート、実験結果や図面などの様々な技術資料をまとめて技術文書を英語で作成します。技術文書は、ユーザーに提供するものではなく、事故などが発生したり、EU の監査当局がEU 指令に適合していないと判断した場合に、製品の正当性を示す資料となりますので、そのような観点から作成します。
⑸ 適合宣言書の作成:
 EU 指令に適合していることを確認し、技術文書を作成したら、適合宣言書を作成します。複数のEU 指令が関係する製品でも1 枚の適合宣言書にまとめて、製造業者の責任者がサインします。
⑹ CE マークの貼付:
  適合宣言書が完成したら、製品にCE マークを貼付して、ヨーロッパへ出荷することができます。

3 製造業者が製品にCE マークを貼付した後に、万一EU の監査当局がEU 指令に適合していないと判断した場合は、製品を速やかに市場から引き上げる必要があります。その場合、製造業者の担当者および適合宣言書に署名した責任者が禁固刑や罰則の対象になることもありますので、注意が必要です。

製品につけられたCEマーク

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