コラム

COLUMN

著作物の利活用に関する文化庁の取り組み ~「二次創作」に求められる姿勢~

知的財産

2026.03.03

執筆者:弁護士 堀田明希

 文化庁は2026年1月28日、著作権普及啓発プロジェクト「著作権について知っておきたい大切なこと」を開始しました。その中でいわゆる「二次創作」の著作権問題、特に「グレーゾーン」とされてきた領域に初めて踏み込んで解説したことが話題になりました。解説内容は弁護士としては当たり前の事項であり、このことが話題になったこと自体に衝撃を受けましたので簡単に説明させていただきます。

 文化庁は二次創作や模写をインターネット上で公開する場合は、原則として権利者の許可が必要であると明示し、「沈黙は公認ではない」と強調しています。

 プロジェクト内でも言及されていますとおり、「えっ、でもSNSにはファンアートがたくさんあるよ?」という気持ちも理解できます。実際、ファンアートを含む二次創作を積極的に容認し、原作の認知・人気拡大へのつながりを期待するクリエイターも存在します(コミケなどは典型例です)。
 ですが、著作権法は、著作物を創作した者に複製権や公衆送信権、翻案権などの権利を与えます。二次創作は、既存作品を基に新たな創作を行う行為であり、法的には「翻案」に該当する場合が多いと考えられます。そのため、原則として権利者の許諾が必要であり「グレーゾーン」ではありません。権利者が明確なガイドラインを示している場合は、その範囲内で利用することが重要です。可能であれば権利者の同意を得ることが望ましいです。

 もっとも、使用したいコンテンツの著作者がわからない、著作者はわかるが連絡先がわからないというケースももちろんあります。そこで文化庁は2月24日、分野横断権利情報検索システム (分野横断検索システム)、個人クリエイター等権利情報登録システム (個人クリエイターシステム)を公開しました。個人クリエイターシステムには、著作物利用に関する著作者の意向や問い合わせのためのフォームが設けられています。

 まだサービス開始したばかりですが、個人クリエイターシステムにはコラム作成時点で既に漫画100件程度、音楽80件程度の登録がありますので、コンテンツの(二次)利用を検討する場合には一度確認することをお勧めします。

 こと企業活動においても、SNS投稿や販促物で他人の著作物を利用する場面は少なくありません。ファン活動で黙認されている事例があるからといって、自社の広報や商品企画に安易に応用することは大きなリスクを伴います。特に営利性が認められる場合、権利侵害の指摘を受ける可能性は高まります。実務では、①権利者のガイドライン確認、②必要に応じた許諾取得という基本動作を徹底することが重要です。

  • 東京、福岡、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、ハノイ、ダナンの世界8拠点から、各分野の専門の弁護士や弁理士が、企業法務や投資に役立つ情報をお届けしています。
  • 本原稿は、過去に執筆した時点での法律や判例に基づいておりますので、その後法令や判例が変更されたものがあります。記事内容の現時点での法的正確性は保証されておりませんのでご注意ください。

お問い合わせ・法律相談の
ご予約はこちら

お問い合わせ・ご相談フォーム矢印

お電話のお問い合わせも受け付けております。

一覧に戻る

ページの先頭へ戻る